資生堂ポアンかみそりの謎

 今日はもう、「完全休養日」を宣言して、朝食のアトであひるんちょに乗せてヨメを縣神社まで送り届けた以外には、一切自宅の敷地から出るコト無く、耳がイタくなるマスクもせずに過ごそうといった日曜日となりました。「とにかく何にもやらん」と決めたものの、一日中ゴロゴロと寝てるのも飽きるんで・・・あ、そうそう。昨日ヨメの実姉が実家で発見してきたという「昭和の日用品」についての考察でもしてみようかと。

 ここで俎上に上がりますのは、「資生堂ポアンかみそり」なる物品。ワタシゃ初めて目にする製品なので、とりあえず商品名でそのままググると、なんと今でも同名称のモノ(資生堂ポアンかみそりスペシャル)が5個入り税込220円で売られているコトが判明いたしました。だいたいポアンってナニ?「POINT」という綴りをフランス語読みにでもしたのかナ。ま、要するに、眉毛の毛先でもチョイチョイとピンポイントで剃るのに使うかみそりってコトなんでしょうかね。

 で、さらに「資生堂ポアンかみそり 歴史」でググると、日本利器工業株式会社なる聞き覚えの無い企業の公式サイトが目に留まりました。同サイトに曰く「1867年の創業以来、関で最も古い刃物企業として伝統の技術と心を今も受け継いでいます。ナイフや登山刀の製造、戦時中の軍刀・航空機の製造を経て、現在はカミソリや美容製品を中心に製造・・・」とあり、岐阜県関市の刀鍛冶技術を今に伝えている企業であるコトが分かりました。なんとまぁ、旧い一本のかみそりから、壮大な戦国絵巻まで透けてみえるというロマン溢れるハナシになってまいりましたが、要するに、いにしえの兵器製造技術を平和利用へ転用ってコトですかね。「文明の利器」の利器を社名に戴くあたりからも、そのような意識を感じさせられます。自社製品としての高級両刃かみそりの他、資生堂を初めとする各社からの依頼でOEM生産をするのが主業務である様子なので、「ハナ毛切り(笑)」に良く似た「(模型用)デカール切りバサミ」なんかにも、ひょっとしたらココで製造しているのがあるのかも知れませんね。天下の資生堂が自社用品部門の外注として長きに亘って依頼しているというコトからも、高い製造技術を持っているメーカーであろうと想像いたします。なにしろ直接肌に触れるモノですから、繊細さと高精度が要求されますもんね。

 さてさて、製造元は判明いたしましたが、今度は手元にある現品の時代考証をば。「資生堂ポアンかみそり 歴史」で画像検索いたしますと、「北多摩薬剤師会 おくすり博物館 資生堂」というページがヒットいたしました。このサイト、以前にも当ブログで御紹介したように思います。ソコには、一本一本を個別包装したグリーン色のポアンかみそりの画像が載せられ、その画像キャプションには「資生堂 ポアン かみそり(日本で初めて完成したステンレスのかみそり 定価10円)」とあります。といたしますと、手元の現品箱には「5本入定価100円」とありますんで、価格が発売当時の倍になってるというコトになりまして・・・「コリャ意外に新しいモノなのか?」といったギワク(笑)も生じてくるワケです。昭和30年代に日用品の価格が上がるとすれば、最高でも5円単位だったろうと思うのです。といたしますと、昭和48年の第一次オイルショック直後くらいの品なのかなと思ったりして。さらに現品の刃をガードしている鞘(さや)が樹脂製なのも気になるところ。発売当時は、このあたり紙製だったのではと思うのです。しかしながら、紙質も印刷も旧い技術に拠ると思しきパッケージはレトロ臭が芬芬(ふんぷん)たるシロモノでして、あのオシャレな資生堂が70年代中盤までこのレトロテイストを許容していたのも不思議に思えます。ま、前口上が長くなりましたが、ワタシの日曜日のヒマつぶしにお付き合いくださいな・・・

そのデザイン、その色使い・・・昭和30年代テイストが炸裂するパッケージ。
裏書きのところどころが水滴で滲んでいるので、今様のコート紙ではなさそうです。
箱には5本入100円とありますが、4本のみが出てきました。
金属製の柄(え)に彩色された、くすんだパステルカラーは昭和30年代の流行り。
ピンク色の一本には使用感がありますが、残りは未使用だと思われます。
一方、英文のロゴは70年代っぽいし、鞘(さや)の材質もポリエチレン。
それでも、新しくとも昭和48年から50年くらいの品ではなかろうかと思うのですが、昭和32年の発売当時に日本初であったというステンレス刃の光沢は、まったく衰えておりません。
この現品の製造販売時期を特定するために、横浜のみなとみらいにあるという資生堂のミュージアムにでも持って行って、学芸員さんに鑑定してもらうのも一興ですかね。

 ↑てなコトを書き列ねながら、「オレはいったい、ナニをやりたいんダロ」と一介の自動車屋として思うのでありますが、「痴的好奇心(笑)」の赴くところ、気になるとトコトン調べたくなっちゃうモンですから。昨日の夜まで、その存在すらも知らなかった「資生堂ポアンかみそり」をこねくり回すダケで、結構ストレス解消になったりするモンですね。

 にしても、手元の現品が、80年代90年代のレトロブームの時に、当時モノっぽく作られた復刻版でした、ってのが真相だったらホントにイヤだなぁ(泣笑)。

 それじゃー、また明日。

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8 Replies to “資生堂ポアンかみそりの謎”

  1. 昭和の日用展、良いですなあ。
    レトロな昭和のデザインですが、資生堂って御洒落感が満載で。
    箱の裏に書かれた、会社の住所が中央区銀座西ってところも、華やかであります。
    いつかは銀座に、マイクロデポさんのショールームを夢見て、只今、ご近所の浜寿司さんで、乾杯!

  2. ポアンカミソリ、昔ウチのオカン(笑)が使ってました。
    そして、高校生あたりの頃、ほっぺたの産毛をこのカミソリ使って剃ってました。
    あと、懐かしのテクノカットの耳剃り用にも。

  3. Pointをフランス語読みするとポアンになるとは
    勉強になります!
    なんかクルマもフランスとは縁がないのですよね。
    パリ旅行も行ったことがないという

  4. なんともレトロな資生堂ポワンかみそり!
    不思議なのは、”Point Razor”と英語表記して、Pointを「ポワン」とフランス語読みさせるということ。
    フランス語表記で”Point Rasoir”として、「ポワン」とするのが普通だけど、それだと消費者が分からないからか?

  5. ココ最近松本清張を乱読しておりますが、このカミソリ、清張ワールドにピタリハマります!

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