とある科学の超微細開閉切替器(笑)

 いつも懇意にしている鈑金塗装屋さんから一昨日に電話がありましてね、「シャチョー、助けてくださいよぉ。マセラティのグランカブリオっつークルマのドアノブをハズしたらマイクロスイッチのなんか小さな軸が折れちゃってて・・・くっ付きますかね?」「そりゃ現物見なけりゃ、なんとも判断出来ないナ。現物持ってきてよ。あ、壊れてない側の方も持って来てね。」・・・で昨日の夕方、現物が到着いたしました。

 で、結論は・・・「くっ付くワケ、ねーダロ!」であ~る(泣笑)。

上がマトモな方で、下がブッこわれてる方・・・分かりませんよね(泣笑)。
このスイッチは、ステンレス製のレバーを押すアクションにより・・・
「ポチっ」と、微かに音を発します。中身はどーなってんダロなぁ。
左側が破損品。肝心のスイッチノブ先端と防塵ジャバラが居なくなってる。
で、ソイツらもチャンと付いて来てました。「コイツは細けぇ~!(泣)」
スイッチの内部を穴から覗くと、コイルスプリングが横倒しに寝ちゃっています。
おお、よぉ~く目を凝らして見れば、品番らしき刻印も確認出来ました。
さらに本体を良く見れば、オムロン製品であると・・・コリャどーにかなるかも。
早朝7時から2時間余りをグーグル検索しまくりで、よく似た画像を発見。
メーカーの公式サイトにもアタってみました。正解は近いのか?
このタイプは「ロング・リーフ・レバー形」というらしい・・・
カタログに出てくるのは三本足だけど、手元の現品からは2本しかコードが出てない。上下を割ってみますと、マイクロスイッチ本体からは三本足が出ていて、真ん中は使ってないという仕立てが判明。じゃ、回路切り替えじゃなくて単なる「ON⇔OFF」ってコトでいいのね・・・アトは操作時にONなのか、OFFとなるタイプなのか、ドッチだ?
公式サイトのPDFから図面を取り出して、外観各部の寸法を照合します。
マイクロスイッチ自体の電気的性能スペックもチェックしました。
そもそものグランカブリオのパーツリストより。御覧の様にドアアウターノブとマイクロスイッチ付きハーネスはAssyというオニさ(部番1:泣笑)です。インナーノブの方は、マイクロスイッチが単体で出るみたいなんですケドね。実態はどーなんでしょ。
追い詰めて行った結果がコレ。汎用品番では「D2HW-C282M」ってコトに。自動車用途だと、さらに枝番の「ーAQ」ってのが付くみたいです。

 というワケで、とりあえず朝っぱらからの“無いアタマ”をヒネりつつの推察で、一定の結論は出せたように思いますが、マイクロスイッチの内部構造には、“接触仕様による分類”というモンがございまして3種あり、そのそれぞれを「a接点、b接点、c接点」と呼ぶのだそうです。コレすべて、オムロンさんの公式サイトでベンキョーしました(笑)。

a接点:操作時にONとなる接点の設計を持つモノ
b接点:操作時にOFFとなる接点の設計を持つモノ
c接点:未操作時に回路Xなら、操作時には回路Yとなる回路切替用

 さらに、“極”と“投”という概念があり、1極単投形(単極単投形)とか1極双投形(単極双投形)、また2極単投形(双極単投形)とか2極双投形(双極双投形)などの云い回しで内部仕様を表現するんだそう。

“極(pole)”とは、1度の操作でスイッチが開閉できる回路数。
“投(throw)”とは接点数を表し、a、b接点は単投(single throw)、c接点は双投(double throw)とも呼ばれるそうです。

1極単投形:a接点あるいは、b接点の1回路を内蔵したスイッチ
1極双投形:c接点の1回路を内蔵したスイッチ
2極単投形:a接点あるいは、b接点2回路を内蔵したスイッチ
2極双投形:c接点2回路を内蔵したスイッチ

 ・・・ソレで、1aとか1cとか書いてあるんだ。ちなみにウチのには少なくとも“C282”の刻印が確認出来るので、1b(1極単投形でb接点の1回路を内蔵したスイッチ)であるものと推測しております。

 ・・・で、たった2時間で学んだ付け焼刃そのものの知識と、現品の観察と、図面との現品測定照合のみで臨んだ結果、必要とされるマイクロスイッチの代替品最有力候補は「オムロン D2HW-C282M(-AQ)」であり、手元に在る破損した現品は、本来c接点として作られたスイッチ本体に繋がるべき青い中間コードを省いてb接点として使用出来るようにしたモノに、フィアット系車用カプラーを装着してマセラティ専用品とされた亜種であると判定しました。あー、ややこし!

 ところがコレ、国内在庫が無いらしく、色々と悩んだ挙句に米国に本拠のある専門商社から空輸(受注後4日)してもらうコトといたしました。品物代よりも、運賃の方がよっぽど高いというハメに(泣笑)。

 それじゃー、また明日。

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8 Replies to “とある科学の超微細開閉切替器(笑)”

  1. すごいすごい、理系脳でない私には到底無理な探求ですが、オムロンの文字にホッとする気持ちはわかります、知らない外国で日本人に巡り会ったような気持ちかな~、国外でYAMAHAやHONDAのフォントを見ると勇気湧きます。

  2. それにしても国内在庫がない、ってどういうことなんすかね。
    使うメーカーが買い占めちゃって出てこないということなのか、こげなパーツ、海外でしか需要がないということなのか。
    まあでも、他にどゆとこに使われるべきパーツなのか、興味がわかないこともないこともないですが。

  3. すごい、ずごすぎる。十万石饅頭(笑)。
    たこちゃん、頭いいな~。
    全くもって、頼りになります。

  4. 勉強になります(まったく頭に残りませんが)
    とにかく、信頼の日本製でよかったけど、物が日本にはないと…
    でも、そこはその筋のネットワークでどうにか空輸。
    一件落着、素晴らしいです。

  5. 時々、お披露目されるマイクロデポ的ラヂヲ工作も凄いですが、今回のような超小型スイッチの構造の解析と解説は、お初にお目にかかります。
    たこちゃん凄いです。
    構造を公開してくれるメーカーさんも親切ですね。
    アンドロイドスマホの調子が悪かったので、先般、ようやく買い替えました。
    でも、最先端スマホでは無く後継機の4Gエクスペリアを選んでしまった進歩の無い齢五十のワタクシメ、この選択がGGIへの第一歩?
    スマホの修理も、デポさんにお願いすればよかったのかも。

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