マセラティクアトロポルテV8エヴォルツィオーネコーンズセリエスペチアーレⅠのシートを加修する(その1)

 はい、久しぶりに本ネタですよぉ~(笑)。表題にある加修というコトバは、あんまり一般的には使われない中古車屋用語ですね。「シートを修理する」とか「レストアする」とか「再生する」と申しますと、生地そのものを張り替えるイメージとなっちゃいますが、ソコまで大仰なモンでもありませんので、「加修する」といたしました。「分解→清掃→皮革生地表面の平滑さを取り戻す下地作り→部分的に塗装」というのが主なプロセスであります。今朝もハヨから張り切ってイッてみよー!

早朝の笹目通りは御覧の有様。自粛の効果が出まくりやがってマス(笑泣)。
シャッターを開ければ、「目黒区のM」さん号が鎮座するデポ場内。
さらにその室内を覗きますと・・・ナニやら役者が足りない感じ。
おお、千両役者の左右フロントシートが居なくなっちゃってる。
うわー、なんかスゴイ社外品のオーディオ基盤が出て来ちゃったなぁ。
・・・で、役者さんは、二階の事務所にアガっておられましたわ。
朝の光を浴びながら、いっけんキレイに見えますけれど・・・
これからシート座面部分をを分解します。D環と呼ばれる金具で10箇所が留められておりますので、ソレをニッパーの先を用いてハズしてまいります。
コレがD環をハズしたモノ。同じクルマの左右のシートに使われているD環、それぞれの材質が(硬さも形状も)違うんだよぉ(ソレがマセラティのスゴいトコ:笑泣)。
シート生地の縁には、袋加工した布地が着いてまして、その袋の中を貫通するように鉄芯が入れてあります。この鉄芯とシートフレームを(生地の皮革部分までを強く引っ張りつつ)結合させているのがD環なのです。
鉄芯はシートの底面と左右側面に入っております。
シートの後部に入る鉄芯には、若干の角度を付けてあります。
ひとつのシートあたり4本の鉄芯を解けば、座面が浮き上がります。
座面を取り除くと、シートのメイン骨格が見える様になります。
フレームには軽め孔が開けられていて、意外とレーシーなモノです。
取りハズした座面。自然光に翳してみますと、ヨゴレを見やすいです。
洗剤を用いて浮かせつつ、マイクロファイバークロスで拭きとり。
サイドのアルカンタラ装部分にはシートベルトキャッチからの樹脂写り。
こういった一見ゴツいヤツも、丁寧に清掃を続ければ・・・
御覧の様に、ほとんど判別できないレベルまで落とせます。
皮革表面のヨゴれ。キレイにした部位と見比べれば一目瞭然。
シワの奥深いところに入り込んだヨゴれは、皮革生地の裏側に指を突っ込んで、表面を膨らませつつ取り除きます。一番コンジョーの要る工程です。
座面の方は、大体仕上がりました。色んな灯りの下で見栄えを評価します。
小物も直す必要が。パーキングブレーキレバーの本革製ブーツです。
なんか、「ゴメンナサイ」してるようで、カワイイヤツよのぉ(笑)。

 ↑といったところで、“いつものフィニッシャー屋さん”がお越しになる時間となりました。この後は表面の下地処理と部分塗装工程となりますが、今日はツカれたので次回に続くのでありました(泣笑)。

 それじゃー、また明日。

只今、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の主旨に鑑み、一切の小売(車輛本体・中古部品・新品部品・各種油脂類他用品・自動車関連の古本・自動車関連のヴィンテージ小物)と整備修理車検等メンテナンス部門の御依頼を承っておりません。顧客の皆様には、著しく御不便をお掛けいたしますが、何卒御理解の程お願い申し上げます。

7 Replies to “マセラティクアトロポルテV8エヴォルツィオーネコーンズセリエスペチアーレⅠのシートを加修する(その1)”

  1. やはりタン革は汚れが落ちるとキレイになるのがはっきり分かります。
    シートベルトキャッチからの樹脂写り、見事に落とせるのが凄いです。
    このあたりも、たこちゃんのノウハウですね。

  2. 素人がテキトーな革クリーナーでごしごし…
    汚れを伸ばしてしみこませ下品なテカテカに…
    匠の技でいかないとだめですね。

  3. 「クリーニングした後」と掛けて
    「方位磁石」と解きます
    その心は
    「汚い(北ない)と困ります」

  4. いやいや、この加修作業も、いわば超絶デポ加修とも言うべき凝った作業で、再生作業にもひけをりませぬ。
    根性で治してくれるのは、オーナーさんのフトコロにも優しい、たこちゃんの思い遣り。
    ありがたし。感謝!

    ブレーキレバーの本革ブーツ、とってもお茶目です。

  5. 関係ないですがマツダ100周年記念サイトwww2.mazda.com/ja/100th/cars/#/*/1/1/
    面白いことになっていました。

    TOP3は『AZ-1』『ランティス』『マツダ787』
    HEN鯛ばかり…
    私?
    もちろんランティスクーペに投票しました。

    1. コスモスポーツ(超然と一位)

      K360
      R360クーペ

      初代ボンゴ
      ポーターキャブ

      コスモAP
      初代RXー7

      初代ルーチェ

      ・・・マツダ車好きなんじゃん、オレ(笑)。

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